佐賀iroha-n

祐徳稲荷神社(鹿島市)

2017.12.21

佐賀県のうまかもん、よかとこ、知ってほしいことを、全国の皆さんと一緒に面白がりたい! という願いから立ち上がった佐賀iroha-n。思わぬご好評をいただき、ほんのり戸惑っておりますが、感謝感激、嬉しい気持ちでいっぱいです。
さて、不定期連載の第2弾は、よかとこ。佐賀県の西南部、有明海に面した小さな街に鎮座する、祐徳稲荷神社をご紹介します。


世界中の笑顔が集まる神域
なだらかな反り橋を前に、まず目に飛び込んでくるのが、山の緑に浮かぶ、鮮やかな朱色。誰もが思わず足を止めて見上げてしまう懸造(かけづくり)の御社は、鹿島市のパンフレットにもたくさん登場している、鹿島の重要なシンボルのひとつでもあります。

御社が斜面に建てられているこの何とも不思議な造りについて、権宮司の鍋島さんに伺いました。「国土の4分の3が山林という地形の中で、いかに社殿を建立するかの工夫が懸造に繋がったのでしょうね。昔から人が簡単に足を踏み入れられない高い場所に神様が祀られるのが習わしで、普段生活をしている現世と隔てた山の山頂や崖、海辺の半島の先端や島々によく鳥居が見られ、その多くが東向きに建てられてきました。ところが、人々が頻繁にお参りに行くには少し無理がある。そこでお参りしやすい場所に本宮や拝殿が建立されました」。祐徳稲荷神社も平地に御神楽殿、階段を上った先に御本殿、山頂に奥の院があり、山頂までの急な斜面にもたくさんの御社が建てられています。御本殿へはエレベーターで上がることも出来るバリアフリー仕様。また、軽い登山程度の覚悟は必要ですが、奥の院の御社や山頂からの眺めはとても素晴らしいので、参拝の際には歩きやすい靴と水分補給の用意をして、挑戦してみてください!

近年は、タイの映画やドラマのロケ地になったことから、外国人観光客も大勢参拝に訪れるのだとか。「今ではタイのみなさんがツアーバスを何台も連ねていらっしゃいますよ。みなさん、とても素敵な笑顔で喜んでくださいます。タイだけではなく、今日はリトアニアから来られたという方もいらっしゃいましたね」(鍋島さん)。確かに、いつ来ても外国の方を見かけます。外国人観光客の増加で心配されるようなマナーの悪さは全く見られず、皆さんとっても素敵な笑顔で日本の伝統的な風景を楽しんでいらっしゃるのが印象的です。

人々の頭の片隅に鎮座する神社
外国人参拝者の方のための外国語ver.のおみくじもそうですが、こちらの神社にお邪魔して感じるのは、とにかく「楽しんで欲しい」というおもてなしの心です。例えば、御朱印。祐徳稲荷神社で御朱印をいただくと、御朱印帳にあぶらとり紙を一冊挟んでくださいます。この表紙の絵が何とも素朴で可愛らしいのですが、実は巫女さんがデザインされたもの。「御朱印帳は世界に一冊のその人だけのお札が出来上がります。似たものでスタンプラリーは賞品をもらうことが目的ですが、御朱印帳は思い出が詰まっています。開くたびにお参りしたときの謙虚で浄化された気持ちが蘇る。旅館に帰ってお風呂上がりにでも、御朱印帳を開いて、あぶらとり紙でひと拭きしてもらえたら良いですね。一度の縁を少しでも深いものにしたいなと思っています。女性はいろんなところで思い出を話してくれますから広報効果にもなりますし。男性は旅先での話は嫁さんに話しませんから(笑)。5種類あり、どれが当たるかはその時次第。楽しんでください。一度の御縁を大切にして、人々の頭の片隅に鎮座する神社が一番の理想です」(鍋島さん)。

今年、鎮座330年目を迎え、日本三大稲荷にも数えられる大社でありながら、どこかポップな雰囲気を感じられるのは、権宮司さんを始めとする職員のみなさんが、その瞬間のご縁をどう結び、深めるかを楽しみながら試行錯誤していらっしゃる、その心のなせる技なのかも知れません。
実際、人口約3万人の鹿島市にありながら、お正月三が日だけで約70万人、年間約300万人が訪れるという祐徳稲荷神社には、人を惹きつける力が確かに存在するのです。

最後に、鍋島さんに観光におすすめの季節を伺いました。「春、社殿の朱と空の青と木々の緑の中と一緒に見る桜は格別です。気候も良いし、山に囲まれ、山間から綺麗な川が境内へと流れる地形のおかげで心地よい風が吹く、このアンサンブルが最高です。桜が散ったら対面する東山のつつじが見事ですね。藤棚が爽やかに色づき新緑が社殿の朱色に映える頃、菖蒲が咲き始め、庭園の紫陽花は梅雨時の楽しみです。暑い夏も庭園で木の香りや風鈴の音を聴きながら心で涼んだりできます。秋には紅葉が美しいし、四季折々風景を楽しめる神社です」。どの季節にも趣ある表情を見せてくれる祐徳稲荷神社。参道の商店街では、着物のレンタルも行っているので、まずは来年のお正月、和装で初詣を楽しんでみてはいかがでしょうか。

他にも聞いてみました!
お稲荷さんのプチQ&A

「お稲荷さんに朱塗りが多いのはなぜ?」
いろんな説がありますが、朱の色には魔除けの意味があると言われています。また辰砂(しんしゃ)という鉱物が原料で、防虫防腐効果があるという、実用的な意味もあるようです。お稲荷さんは稲作成就の神様、豊穣の神様ですが、“万物の根源は太陽にあり”というように作物の収穫を促すのはやはり太陽です。そして太陽の曙の色を表しているともいわれています。

「お稲荷さんは五穀豊穣、衣食住、商売繁盛、何の神様?」
もともと神社は古い歴史のあるもので、例えば弥生時代を考えると、商売なんてありませんでしたよね。人間の最初の願い事は収穫、五穀豊穣でした。そのうち工業が興り、必然的に商業が興る。そうやって主産業が農業から工業、商業と移り変わる中で主産業を司る神様であるというところから、商売繁盛の神へと変遷していったのだと思います。ただ、私は祈りの数だけご利益があると思います。神様から「色んな事が出来るのに勝手に決めないでくれ!」と(笑)。農業だけでなく、ここは海も近いので海上安全、大漁満足の祈願も多く漁業の神としても信仰されています。合格祈願をして合格すれば受験の神様にもなるし、気の合う人と2人で来てそのあと付き合ったら縁結びの神様にもなる。頻繁に神社に足を運んで手を合わせてくださることによって、それが神様の威力を増していくのです。


祐徳稲荷神社
0954-62-2151
佐賀県鹿島市古枝
駐車場:無料(3,000台)
JR肥前鹿島駅より車約10分
エレベーター有り