女性のカラダ

一灸先生に聞きました vol.31 ぎっくり腰その1 〜ぎっくり腰は突然にって本当?〜

2017.07.13

梅雨も終わりに近づき、間もなく夏本番ですね。みなさん、養生していますか? 今月のテーマは「ぎっくり腰」。私、腰痛持ちなのよねー(腰トントン)、なんていう慢性的な腰痛とは違い、突然襲って来る、あの激しい痛み! そのまま身動きが取れなくなった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、ぎっくり腰とはなんぞや、というところから一灸先生に聞いてみました。

あの激痛はミクロの世界が引き起こしていた!
ぎっくり腰はなにも突然襲ってくる訳ではありません。腰の筋肉はほぼ左右均等についていて、しかも適度に遊びがあるのが正常な状態です。ところが、日常的に姿勢が悪かったり、身体がゆがんでいると、どうなるでしょう。例えば右側の筋肉が極端に引っ張られていると、左側の筋肉の遊びがなくなってしまいますよね。この張り詰めた筋肉に、何かの拍子であと少しでも力が加わって、筋繊維が切れたり裂けたりした状態がぎっくり腰。つまり、姿勢に左右差が出ている時点で、すでにカウントダウンは始まっていたのです。
「筋繊維が切れる」というと、靭帯断裂のように感じるかも知れませんが、決してそんな大怪我ではなく、ミクロの世界の話です。ぎっくり腰のあの強烈な痛みも、その小さな小さなミクロの傷によるもの。また、同時に腰椎がずれて、その他の部分との連携やバランスが崩れた、いわゆる歯車が噛み合わない状態となって、身動きが取れなくなってしまいます。もし、すぐに腰椎のずれを戻せたとしても、筋繊維が傷ついていますからしばらく痛みは取れません。以前、痛みは身体からのSOSだというお話をしましたね。痛みが強いほど、身体は安静にしてほしいと願っています。つまり、全身のバランスが戻るまで、身体が自ら動けないようにしている、という訳です。こうなったら、何とか一番楽な姿勢になって、あとはもう絶対安静。痛みの程度はその時によって違うでしょうが、決して無理に動かないことです。痛みを我慢して一度グッと腰を伸ばしてしまえ! なんて乱暴なアイディアもあるようですが、それはとんでもないことですよ。

身体を鍛えて直したいクセ
ぎっくり腰はクセになるという説がありますが、これはぎっくり腰そのものではなく、姿勢や生活習慣のクセの問題。どんな不調も日々の延長線上に現れるのです。もちろん、誰しもお仕事や様々な役割がありますから、生活そのものをガラッと変えるのは簡単なことではありません。私もみなさんと同じです。だからと言って何もしないと、あの強烈な痛みがまた襲ってくる可能性がある! だとすれば、今すぐ大きく変えることはできなくても、お休みの日など、時にはしっかりセルフケアする時間を取ることから始められたらいいと思います。猫背や足を組むなど姿勢にクセがある人は、その姿勢が楽だから無意識のうちにそうなってしまうのでしょう。クセになっている姿勢が苦痛になるような身体を作るために、適度な正しい運動で身体を鍛えたいですね。猫背なら背筋を鍛えるのもいいでしょう。足を組むなら、身体がねじれているのかも知れません。身体を鍛えるにはウォーキングが一番です。ただ歩くより、ポールを使うことで、安全に全身の筋肉を左右バランス良く鍛えられるポールウォーキングをおすすめします。
生活環境を整えることも大切です。例えば、寝具。人は寝返りを打つことで、身体のバランスを整えています。寝る時にクッションで全身を囲む人がいますが、これでは寝返りが打てないのではないでしょうか。ソファーなどの狭い場所で寝ていても、歪みを整えることはできないですね。
余談ですが、くすぐったいというのは痛いと同様に身体の異変を知らせる異常感覚で、身体に歪みや異常がなければ脇や足の裏をくすぐられても実は何ともないのです。くすぐったくて思わぬ方向に身体をよじるのは、歪みを直す自然な反応。思わずよじったり逃げたりする方向が矯正の方向です。子どものうちはくすぐってあげると歪みが整ったりするのですよ。
大人も小石や足ツボマットの上を裸足で歩くと、痛みで思わず身体をよじりますね。これが歪みの矯正にはとても効果的。痛いことをしてはいけない、と普段からお話ししていますが、足の裏だけは別です。大いに刺激して、我慢せず痛みに任せて身体をよじり、歪みを矯正してください。


先日、腰のあたりに違和感があり、このままではぎっくり腰になりそう! と一灸先生のところに駆け込みました。あの段階で治療を受けても、痛みがなくなるまでに一週間かかったのですから、もしぎっくりしてしまっていたら…と考えると恐ろしくなります。次回は、もう少し詳しく歪みの原因について聞いてみます。もちろんツボも出て来ますので、足裏の痛みに身体をよじりながら、楽しみにお待ちください。

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)
文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。