女性のカラダ

一灸先生に聞いてみました vol.27 五十肩 その1 〜老いとは似て非なるもの〜

2017.05.11

最近周囲でよく耳にする、老眼や五十肩というフレーズ。やはり寄る年波には逆らえないのか…いやいや、本当に受け入れるしかないの!? ということで5月のテーマは「五十肩」です。今回は、世間でまことしやかに囁かれている、五十肩の通説についてQ&A方式で一灸先生に聞いてみました。

一度で終わり、とはいきません!

Q.四十肩、五十肩って何?
A.四十肩というのはありません。まずは五十肩とは何かをお話ししましょう。五十肩は医学的には「肩関節周囲炎」と言われています。上腕二頭筋長頭腱炎、肩腱板損傷、肩峰下滑液包炎、石灰沈着性腱炎などの肩関節炎の総称です。一般的に50歳になる頃に肩の痛みを実感することが多いので、昔から五十肩と言われてきたようですね。ですが、実は年齢はあまり関係ありません。患者さんに「いわゆる五十肩ですね」と言うと、40歳代の人はムッとしますし、70歳代の人は喜びますが、30歳代で発症する人もいます。

Q.五十肩って誰でも罹る?
A.肩関節周囲に炎症が起こる原因は様々で、その部位や状態によっていろんな名称がついていますが、東洋医学ではそのほとんどの原因は骨格の歪みと診ます。さきほど、50歳になる頃に痛みを実感する、と言いましたが、当然、五十肩になる人とならない人は存在します。日頃から全身をバランスよく鍛えていたり、正しい姿勢で生活していれば、骨格は歪みにくく、また、歪んだとしても、きちんと養生をしていれば自然と戻す力が働くからです。もちろん、歪みが原因ということは、再発の可能性もある、ということです。ちなみに五十肩かどうかは、結髪結帯動作(髪を結ぶ・帯を結ぶ)が痛くて出来なくなると、というのがひとつの目安と言われています。

Q.片方が治ったと思ったら、反対側に来るって本当?
A.絶対、という訳ではありませんが、反対側に痛みを感じる人もいるでしょう。よく、身体の声を聞いて養生をしましょう、というお話しをしますね。痛みは身体が発しているSOSです。動かすと痛いのであれば、それは「動かさないで!」という身体の声。ここは動かさないで、先に他のところを治して、ということです。きっと他の場所に原因があるのでしょう。動かさずに安静にしている間に、身体は自ら歪みを正したい、つまり自然治癒の時間が欲しいと訴えているのです。ところが痛みだけを抑えると、つい身体を動かしてしまいます。もつれた毛糸を想像してください。もつれた毛糸を元に戻すには、そっと広げて、もつれている場所を探し、少しずつ丁寧に解いていくしかありません。それを「えい!」と力任せに引っ張れば、もつれていた部分は偶然解けるかも知れませんが、今度は別の場所がもつれてしまいます。これが痛みが反対に移ってしまうという状態です。反対側の肩だけではありません。頚椎や腰椎、あるいは股関節が痛くなってしまう人もいます。股関節と肩関節は関係がありますから。骨格の歪みを取るという根本治療で、もつれた毛糸を丁寧に解くことが大切です。

肩は治りにくい、でも諦めないで!

Q.五十肩が治るのに1年もかかるって本当?
A.これもかなり個人差がありますが、しっかり養生していれば、そんなにはかからないでしょう。さきほどの話にも関係しますが、五十肩の患者さんの場合、私はまず股関節を診るようにしています。股関節という土台に歪みがあれば、股関節より上の骨格はおのずと歪んでしまいます。ジェンガというゲームを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。上のほうにあるピースを抜こうとしてもなかなか抜けないとき、別の低いところにあるピースから抜くと、さっきは抜けなかったピースがすんなり抜ける、ということがあります。バランスが変わったということです。歪みの原因は股関節かも知れないし、膝かも知れないし、もしかしたら足の指の先かも知れない。位置は離れていても、身体はすべて繋がっていますから。ただ、肩関節に不調が生じると治るまで時間がかかりやすいのは事実です。肩関節はとても可動域が広く、複雑な動きが可能です。それは、肩甲骨、上腕骨、鎖骨という3つの骨で構成されていて、なおかつ多くの筋肉が複雑に入り組んだ場所だから。つまりそれだけ身体中のいろんな歪みの影響を受けやすく、また筋肉で繋がった身体中のいろんな場所に影響を与えやすい、ということにもなり、治るのにも時間がかかってしまうのです。

Q.痛みを我慢して、力任せに動かすと治るって本当?
A.鍼灸師から見ると、それはナンセンスです。思い出してください。痛みは身体のSOSです。動かさないで! という叫びですよ。もつれた毛糸もジェンガも力任せに動かして上手くいくでしょうか? 治ったと思っても、きっと別のところに不調が生じるでしょう。

もつれた毛糸とジェンガ。これはかなりイメージしやすい話でしたね。姿勢が悪いと身体が歪みやすく、なぜ姿勢が悪くなるかといえば、姿勢を保つ筋肉が発達していないから。日頃から怠けて過ごしていると、ぐうたらポイントが身体の中に蓄積されているのですね…。気を取り直して、次回は予防法とセルフケアの方法を一灸先生に聞いてみます。適度に身体を動かしつつ、楽しみにしていてください。

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。