女性のカラダ

一灸先生に聞いてみましたvol.25 季節の変わり目のセルフケア“春編”その1 〜肝と乱れの季節〜

2017.04.13

以前、秋の体調不良について一灸先生のお話をご紹介してから、あっと言う間に半年が過ぎましたが、みなさん、養生していますか?

新入学や人事異動など何かと忙しい、春。やはり不調を感じる人も多いようです。そこで、春の不調の原因や特徴について、一灸先生に聞いてみました。

春は鬼門!? 肝の嘆き!

春は秋と同様に季節と身体の変換期ですが、秋より春のほうが不調の現れ方が著しく、しんどいように思います。体調面において春は鬼門、秋は裏鬼門と言ってもいいでしょうね。いつものように五行式体表を見てみましょう。木に属する五臓、肝。肝は「疎泄(新陳代謝)を司る」と言われ、血を貯蔵し状況に応じて心に送ったり、ココロを安定させたり、胃腸など他の臓腑の働きをコントロールするのも肝の仕事。ただでさえこんなにも忙しいのに、さらに夏の暑さに負けない強い身体を作るため、たくさんのホルモンを分泌するなど、春の肝は多忙を極めます。また、肝はストレスの影響を受けやすいのが特徴。なぜか日本では新学期、人事異動、決算など大きな締めくくりと新たな事の始めのほとんどが春ですね。それに伴って環境の変化も激しく、ストレスを感じることも多い。四季のある土地に根付く日本人は、身体を季節に応じて変換させる必要があり、季節の変わり目には、いつもにも増して養生が必要なのにも関わらず、身体の声とは正反対の生活を送っているのが現状です。最近、夜中に目が覚めてしまうという患者さんが多いのですが、だいたい1〜3時(肝の時間)に起きるのだとか。肝が働き過ぎているのでしょう。つまり春の肝はほとほと参っているのです。

 

心身ともに春の嵐注意報

では、肝が忙し過ぎて参ってしまうとどういう状態を引き起こすでしょうか。

春になるとめまいや偏頭痛を感じやすいのは、肝気上逆と言って、肝が働き過ぎてオーバーヒートした結果、気が頭に上がっているからです。いつもより疲れやすい、体力がないと感じるのは、五行の木に属する五主が筋だからでしょう。筋は体力と関係していますから、肝が参ってしまえば、仲間の筋にも影響があり、疲れやすさやだるさを感じます。かすみ目や疲れ目、爪がもろくなったり、肩が凝りやすかったりするのも、五行の木に属する仲間を見れば納得ですね。イライラしやすい、怒りっぽいなど、感情にも影響があります。また、春は婦人病にも注意が必要です。婦人病の原因は瘀血。肝には、食べ物や飲み物を身体に合うよう変換して血とともに送り出す働きがありますが、忙し過ぎてこの働きが滞ってしまいます。気血の巡りが悪くなる、これが瘀血です。また、体調不良ではありませんが、酸っぱいものを欲しくなるのも春で、肝と深い関わりがあります。わかりやすい例で言うと、妊婦さんのつわりですね。妊娠中は体内に別の人間が存在し、時には血液型が違ったりもするという状況で、肝は、2人分の体調管理や栄養供給を互換性を計りながら行わなくてはならない、特別重要任務に当たっています。まさにてんてこまい。五行式体表の木に属する五味は酸だと考えれば、肝臓が大変だと酸を欲するのも理にかなっていますね。

肝は毎回のように出てくるワードなので「また肝の話!?」と思うかもしれませんが、それだけ重要な働きを担ってくれているのです。「春は肝」と心得て、ぜひ養生してみてください。

 

とにかく、春はいつも以上に肝に負担がかかっているということですね。五行のつながりにはいつも驚きますが、最近ちょっとイライラすることが多かったので、妙に納得してしまいました。イライラを治めるために甘いものでも食べて…いやいや、甘いものも肝に負担をかけるのでほどほどに。次回は、春の不調時に試したい、お灸のツボについて聞いてみます。肝を休めつつ、のんびりお待ちください。

 

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。