女性のカラダ

一灸先生に聞いてみました vol.21 睡眠 その1 〜気持ち良く眠れていますか?〜

2017.02.09

みなさん、夜はぐっすり眠れていますか? 厚生労働省の調査によれば、睡眠を充分とれていると感じている女性は、30歳代で18.4%、40歳代で11.7%、50歳代で15.5%(平成26年度国民健康・栄養調査より)。日本人女性の睡眠に対する満足度は、決して高いとは言えないようです。そこで、今月のテーマを睡眠とし、まずは睡眠の役割や夜中に目が覚めてしまう理由について、一灸先生に聞いてみました。

 

睡眠不足で自らの生命を削る!?

人間の身体は眠っている間に、生命活動に必要なあらゆる働きを整え、その日生じた歪みや乱れを補修、リセットしています。例えば寝返りを打つのも歪みを取るのに重要な身体の動きです。睡眠にはメラトニンという睡眠ホルモンが必要なのはご存じですか。メラトニンは日が落ちて暗くなると、脳内物質セロトニンを材料に分泌を始めます。セロトニンは、日中、太陽光を浴び、しっかり活動をすることで分泌されます。夜更かしをして朝起きられないと、セロトニンの分泌量が充分でなく、メラトニンも不足する。つまり、メラトニンとセロトニンのバランスが乱れると、満足な睡眠をとれない悪循環に陥る、という訳です。セロトニンは自律神経を司る大きな働きをしていますから、慢性的なセロトニン不足になれば、ストレスに耐えきれず、うつになってしまうこともあります。東洋医学でも、眠ることで虚している陰の気を補うと考えられてきました。腎の気がすり減っている腎虚も、陰虚のひとつ。腎は脳や生殖機能など生命力の根幹なので、睡眠不足で腎虚になるとエネルギー不足になってさまざまな機能が老化してしまいます。仕事の忙しさなどを理由に、ついつい夜更かししてしまっている、という人は、自ら生命力を削っているのと同じことです。生命力がなくなれば仕事も出来なくなるので本末転倒ですよね。

 

自分に優しく、ほんのり甘く

では具体的な例を考えてみましょう。まずは、夜中に何度もトイレに起きてしまう、という場合。寝る前にトイレに行っていても、です。このような経験がある方はもしかしたら血圧が高めではありませんか? 実は腎臓には、血圧を調整するという働きがあり、尿を出すことで血圧を下げようとしているのです。ですからトイレから戻ってきてすぐに眠れるようであれば、無理に尿意を抑えたり、水分摂取を控えたりしないでください。血圧が下がってくれば、トイレに起きる回数が減るかもしれません。食生活や生活習慣を見直し、必要ならばダイエットをして身体の負担を減らすことで、血圧を下げる努力をしてみましょう。

次に、そもそもの寝つきが悪かったり、眠りが浅かったり、身体は疲れているし、ものすごく眠いのになぜか眠れないという場合。これは交感神経が高ぶっていることが考えられます。自律神経は活動的な交感神経と、癒し系の副交感神経で構成され、そのバランスがとても重要で、睡眠時に優位になるべきは副交感神経です。ところがなんらかの理由で交感神経が優位になっているので、目が冴えてしまっているという訳です。交感神経が優位に働く原因として考えられるのは、簡単に言うと緊張や興奮状態が続いているということ。他にも夜遅くまでTVやパソコンを観たり、携帯をいじっているだけでも、その光で交感神経が優位になってしまいます。副交感神経を優位にするためには、夜は直接蛍光灯の光を浴びるのではなく、間接照明にしたり、優しい音楽を聴いたり、ぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックスすること。温かい牛乳にハチミツなどでほんのり甘みを足して飲むのもいいですよ。最初にお話しした脳内物質セロトニンを分泌するのに必要なのが太陽光とトリプトファンという成分なのですが、トリプトファンは乳製品に豊富に含まれています。ただ、インシュリンが分泌されていないと効率良く吸収できないので、甘みを足すことが必要なのです。腹式呼吸も、横隔膜が下がることで副交感神経が優位になるので、試してみてください。

ただ寝ているだけ、という意識しかなかった睡眠時も、私たちの身体は元気を維持するために頑張ってくれていたのですね。睡眠を取ることも生活の上で重要なタスクとして…なんて考えると余計眠れなくなりそうなので、自分の身体に優しくしようという気持ちで、のんびりしてみると良さそうです。さて次回は、睡眠のお悩みをケアするツボについて一灸先生に聞いてみますので、たっぷり眠ってリラックスしながら待っていてくださいね。

 

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。