女性のカラダ

一灸先生に聞いてみました vol.19 花粉症 その1 〜先人はそのメカニズムを知っていた!〜

2017.01.12

みなさん、明けましておめでとうございます。今年からは毎月第2、第4木曜日に記事をお届けいたします。

さて新年を迎え、清々しい気持ちで日々を送っているのに、早くもムズムズし始めた…という人もいらっしゃるのではないでしょうか。2017年最初のテーマは「花粉症」。今や日本人の国民病とまで言われている花粉症も、日本国内での歴史は50年ほどと、まだまだ新しい病気のように感じますが、東洋医学ではどのように見られているのでしょう。一灸先生に聞いてみました。

東洋医学で原因解明?

中国最古の医学書にはすでに花粉症の概念についての記述があります。それによると、花粉を風邪(ふうじゃ)の一部と考え、春に吹く東風によって人は鼻水や鼻づまりを起こしやすく、体調の変化は肝から発せられる、とされています。とはいえ、同じ環境にいても花粉症になる人とならない人がいることも事実。これは個人の身体の状態による違いであり、花粉は不調を引き起こすきっかけに過ぎない、ということです。現在の花粉症の治療は症状を抑えるためのいわゆる対症療法が主流ですが、この東洋医学の視点から考えると、身体の状態を整えて症状を起さないようにすることが必要ですね。

では花粉症の症状が起こる原因を考えてみましょう。五行式体表では、肝の五竅(ごきょう)は目、五季は春、五悪気は風(ふう)、五方は東。春の肝は、通常の消化活動などで十分に忙しい上に、冬仕様だった身体を夏仕様に変更するなど、とにかく激しく動く時期。東洋医学では「春は肝が傷れる(やぶれる)」と表現するほどです。忙し過ぎていっぱいいっぱいになってしまった肝がうっ血すると、イライラしたり、目がかゆくなったり涙が出たりするのです。さらに、春は季節の変わり目で邪気に(じゃき)に冒されやすい時期。風(ふう)の季節の邪気、風邪(ふうじゃ)です。風邪に冒され皮膚を覆うバリアである衛気(えき)が崩れると肺に影響が出ます。皮膚と肺と鼻は関係していますから、当然鼻にも症状が出ます。典型的な花粉症の症状ですね。

さらに寝不足などの不摂生があると腎の働きが弱まり外邪(がいじゃ)に冒されやすく、脾は甘いものや脂っこいものをたくさん食べると脾気虚となり、やはり邪気に弱くなります。つまり、五行のうち、肝、脾、肺、腎の4つが花粉症に直接関係しているということです。

 

 

花粉症にも冷えの影

かく言う私も花粉症で、実体験に基づいて気をつけていることがあります。それは「冬の冷えが症状の度合いに関わる」ということです。冬、自ら氷水に入るようなことはしませんが、若い頃は真冬でもサーフィンをしていましたし、数年前までビールもよく飲んでいました。ところがある年、冬にビールを飲むのを控えたところ、春の花粉症がとても楽だったのです。アルコールは飲むと瞬間的に身体が熱くなるものの、アルコールが醒めるときに熱も引き、身体は冷えます。また、ビールは苦味がありますが、苦いものは身体を冷やす性質があると言われます。コーヒーやゴーヤ、みょうが、うこんも苦味のある食材です。また、夏が旬のものも身体を冷やすものが多いです。季節に関係なく野菜が流通しているのは便利なことですが、特に生のまま食べることの多いトマトやきゅうりは食べ過ぎに注意しましょう。年越しに欠かせない蕎麦や、冬の果物の定番みかんも身体を冷やす性質があります。身体を冷やす食材も加熱することで冷えにくくなるので、どうしても食べたい時は火を通すと良いですよ。寝不足で起こる腎虚や生理中の血虚のときも花粉症の症状はひどくなります。もちろん、花粉を体内に入れないことは花粉症対策の基本中の基本ですが、身体を冷やさないことに加え、温めるという東洋医学の基本も大きく影響するのです。このようなメカニズムを意識することで、ずいぶん花粉症の症状が楽になるのではないでしょうか。

なんと、何千年も前から花粉症の概念が存在していたとは! しかも冷えに気をつけることで症状が軽くなるのなら、今すぐにでも試してみたいですね。それにしても、東洋医学には毎度驚かされることばかりです。次回は花粉症対策のセルフケアについて一灸先生に聞いてみます。体質別にご紹介しますので、ぜひチェックしてください。また、今回の記事についてや、身体の不調や変化など一灸先生に聞いてみたいことがあれば公式facebookからメッセージを送ってくださいね。

 

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。