女性のカラダ

一灸先生に聞いてみました vol.17 腸内環境 その1 〜腸内環境が気になったら〜

2016.12.01

腸内環境、最近何かと話題ですね。腸内環境が影響するのは便秘だけにあらず、ということで、食物繊維や発酵食品の摂取が大変なブームとなっています。お通じに悩んでいてもいなくても、整えられるものなら整えておきたい腸内環境。以前、便秘については聞いてみましたが、腸と言っても、どんな仕組みでどんな働きをするのか。今回はそこから一灸先生に聞いてみました。

消化・吸収・排泄のシステムを再確認

まずは腸の働きについてお話ししましょう。腸は大きく分けて、小腸と大腸に分かれます。食べ物は口→食道→胃→小腸(十二指腸、空腸、回腸)→大腸(盲腸、結腸、直腸)の順に体の中を進んでいき、小腸は胃で胃酸によって溶かした食べ物を受け取り、さらに消化・分解・吸収し、体内に送り出します。胃で溶かされた食べ物がおかゆ状だとすれば、小腸はそれを細胞レベルまで細かくする消化・吸収する器官。小腸で消化・吸収された栄養分は門脈を経由して肝臓に送られ、細胞に取り込みやすい形されて、心臓に送られ、心臓から全身に送られています。大腸は小腸で栄養を絞られた食べ物から最後に水分などを再吸収し、便を生成、排泄する器官です。今話題の腸内環境とは、一般的には大腸の状態を指す言葉ですね。ちなみに、大腸の働きが鈍いと便が大腸内を通過するのに時間がかかり、便の水分が極度に少なくなって排泄しにくくなった状態が、以前お話しした便秘です。

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大腸はあちこちと深い関係がある

五行式体表の「金」の欄を見ると、五臓は肺、五腑は大腸、五主(各臓器からの栄養を補充する機関)は皮膚です。肺と大腸は表裏の関係で、皮膚には肺や大腸の状態が影響します。例えば、便秘が長引くと吹き出物が出やすい、肌荒れが起こりやすい、という経験のある人も多いのではないでしょうか。反対に、皮膚の衛気(えき:バリヤ、守るエネルギー)が弱まると、風邪や喘息の発作など咳が出やすくなります。乾燥する季節に風邪を引きやすくなるのはそのためです。風邪を引いてお腹を下すことも、やはり同様に肺と大腸がつながっていることを示しています。

東洋医学では、胃や腸など中空器官と呼ばれる袋状あるいは筒状の臓器の内側、つまり胃壁や腸壁も皮膚と考えます。内側が内臓の皮膚、外側が体表の皮膚。外側の皮膚の衛気が弱ると、内側の皮膚の衛気も弱まり、大腸の本来の働きである水分の再吸収が出来なくなって下痢をする場合もあります。内側と外側、どちらが先という訳ではありませんが、外側の皮膚に出ている異常を無理に抑えてしまうと、内側に影響が出るということも考えられるので注意が必要です。

また大脳と大腸は関係していると考えられています。冗談のようですが、見た目が似ているものは働きにも密接な関係があるとされて来ました。ここ数年、腸内環境や腸内フローラという言葉が浸透し、腸の情報を脳が受け取っているのでは? など、人間の脳と腸の関わりについて注目されていますが、東洋医学ではすでに何千年も前から常識とされて来たことなのです。

五行式体表

大腸が肺や肌と密接な関係にあり、また体調の良し悪しが便の状態として現れるほど繊細とは驚きでした。どうやら私たち女性のお肌の悩みのケアも、この辺りにカギがありそうです。次回は大腸とお肌に関するお灸でのセルフケアについて一灸先生に聞いてみます。

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。