女性のカラダ

一灸先生に聞いてみました vol.15 風邪 その1 〜風邪(の養生不足)は万病のもと〜

2016.11.03

秋は「燥」の季節であり、肺や鼻に影響が出やすい時、ということが10月の話でわかりました。乾燥して肺や鼻に影響が出るものと言えば、風邪。すでに風邪を引いた方も多いのではないでしょうか。今回は、私たちにとって最も身近な病気のひとつである風邪について一灸先生に聞いてみました。

「細胞がいびつになると…」

風邪は東洋医学では風邪(ふうじゃ)と言います。風邪の邪とは邪気という、とても簡単に言えば、外から入り込む病気となりうる良くない気。一般的に、風邪は風門(ふうもん:大椎から頚椎2つ分下り、指2本分両脇)から入ってくる邪気が引き起こした症状のことです。
わかりやすく、赤血球を例に挙げて西洋医学的になぜ風邪を引くかを説明しましょう。ストレスや睡眠不足、不摂生などで身体を疲れさせていると、赤血球の形がいびつになってしまいます。いびつな形の赤血球は本来の仕事をこなすことができません。赤血球は体内に酸素を運び、二酸化炭素を回収するという役割を持っており、その赤血球がいわゆる異型細胞になってしまうと、免疫機能が下ります。免疫機能が正常であれば、隣に風邪を引いている人がいても、ウイルスや菌は体内に入り込めませんし、万が一入り込んでも、正常に処理されて病気を引き起こすことはありません。つまり、邪気が入り込んでも病気になることはないのです。一般的な血液検査では調べられる赤血球の数は、正常に機能している赤血球の数と必ずしも一致しているとは言えないのです。
また、東洋医学で、身体の一番最初のバリアとされているのが、皮膚です。皮膚や粘膜に衛気(えき)という免疫機能が存在し、その流れが正常であれば、邪が入らないとされています。東洋医学では粘膜も皮膚と考えられていて、どちらも乾燥にとても敏感な器官。寒い季節はもちろん、エアコンの付けっぱなしなどで風邪を引きやすいことに納得できますね。うがい、手洗いの励行は必須です。

「風邪でラッキーデトックス!?」

では、発生してしまった異型細胞をどうやって退治し、免疫機能を正常に戻すか。風邪を引くと、悪寒がして、その後高熱が出ますね。体温が38℃以上になると、異型細胞を壊死させる因子が脳から分泌され、異型細胞と戦い、体外に排泄させます。風邪を引いて高熱が出て、だるくて横になりたい、食欲がない、などの症状が起こるのは、より多くのエネルギーを異型細胞対策に使うためです。食欲があれば食べてもいいのですが、食欲がないのに無理して何かを食べてはいけません。食べ物を消化するのにエネルギーを使ってしまうので、戦う力が弱くなってしまいます。仕事に行くなどもってのほか! 寒いと思ったら着る、暑いと思ったら脱いで汗を拭く、など身体の要求に素直に応じて、とにかく戦いの邪魔をしないこと。ただ、水分補給は十分に行ってください。スポーツドリンクなどはどうしても飲みたければ飲んでもかまいませんが、栄養を摂るとその代謝にエネルギーを必要としてしまうので、あまりおすすめできません。常温のお水が一番吸収しやすいと言われていますので、汗をかいた分だけ常温で水分を補いましょう。くしゃみや咳が出るのも、悪いものを体外に追い出す、いわばデトックス。ひとつひとつの症状にはしっかり意味があり、病気からあなたを守ってくれているのです。
いびつになってしまった赤血球などの異型細胞は、風邪だけでなく、ガンなどのもっと重篤な病気を引き起こす要因にもなりかねません。風邪には悪いイメージがありますが、風邪を引くことで、異型細胞をやっつけて、さらに大きな病気を引き起こすことを予防してくれているわけです。人間の身体は本当に良くできています。風邪くらいで、と軽視せず、まずは自分の生活態度を反省し、観念して横になること。しっかり養生して、風邪で済んで良かった、と思えるようにしたいものですね。

まさに風邪は万病のもと。簡単に症状を抑えることも出来る時代ですが、それぞれの症状に意味があり、デトックスしてくれているのだと思うと、また捉え方が違ってくるような気がします。「観念して横になる」、風邪を引いた時の何よりの薬かもしれません。次回は、風邪に伴うつらい症状に対するセルフケアです。うまく症状と付き合い、風邪を乗り切る方法を一灸先生に聞いてみます。

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話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。