女性のカラダ

一灸先生に聞いてみました vol.09 便秘 その1 〜便秘に根菜、その意外な理由〜

2016.08.04

前回までの「冷え」と並んで、女性の悩みの代表格と言えるのが「便秘」。腹部の不快感や肌荒ればかりでなく、重症になると腸閉塞を引き起こすこともある、実は恐ろしい症状です。できることならスッキリおさらばしたい便秘の原因について、一灸先生に聞いてみました。

生活習慣の乱れを軽んずるなかれ

便秘がなぜ起こるのか。その原因はさまざまで、一概に言えるものではありません。よく言われていることだと、食習慣、生活習慣、ストレス、運動不足などでしょうか。
腸内環境という言葉がずいぶん浸透して、便秘の改善にも腸内環境を整えることが重要、と耳にすることも多くなりました。腸内環境というと、善玉菌に代表される良い常在菌を増やすために乳酸菌や食物繊維を摂ろうと努める方が多いようですが、水分と栄養も重要です。人間の体は、腎臓で水分を濾して、必要な分は吸収して体内に循環させ、不要なものは尿として排泄します。その際の水分の吸収を行うのが大腸の役割。水分の摂取が少ないと、体内に循環させる水分が不足するため、大腸からもっと水分を吸収しなきゃ!という動きが体の中で起こって、どんどん便が硬くなっていき、排泄しづらくなっていきます。
また、胃下垂などの内臓疾患によって、大腸の形状が正しく保たれていない、という原因もあるようです。本来、胃や肝臓、膵臓、胆のう、小腸、大腸などの臓器は、筋膜の一種であるべき位置に収まっています。ところが、エネルギーが不足するとこの膜の力が弱まって、臓器全体の位置が下がり、居場所が奪われることで、大腸の形はぐにゃぐにゃに崩れてしまうのです。例えば、夜更かしをして座っている時間が長い分、横になる時間が短いことなども胃下垂の原因。もちろんこれはかなり重症の例ですが、その原因も何気ない生活習慣の乱れなのです。生活習慣が乱れるのは良くない。誰もが承知していることですが、改善はなかなか難しいですよね。あくまで参考例ですが、誰にでも起こり得ることだと覚えておいてください。

必要なのは、なんと脂質!

さきほど、便秘の改善に重要なものとして水分と栄養を挙げましたが、実は、栄養不足の現代人が増えています。栄養とはカロリーのことではありません。必要な栄養素を食事などで摂取し、生命を維持するために体内で活用することです。つまり、過剰なダイエットで食事量が足りていないのも、お腹いっぱい食べていながら、その内容が偏っているのも、どちらも栄養不足。大事なのはバランスです。
便秘をすると食物繊維を摂るよう意識する人も多いと思いますが、それならば根菜類がおすすめです。根菜類には食物繊維もさることながら、不飽和脂肪酸が含まれており、大腸内の潤滑油にもなりますし、便秘解消にはとても良い食材と言えます。そう、現代人の脂質不足も気になるところですね。ダイエットの大敵とばかりにとにかく脂質を控える方が多いのはもちろん、脂質の選び方にも偏りを感じます。バターやお肉などの動物性に多い飽和脂肪酸と、アボカドやオリーブオイルなどの植物性に多い不飽和脂肪酸。飽和脂肪酸=悪、不飽和脂肪酸=善という扱いをされがちですが、実はそれは違います。ここでも重要なのはやはりバランス。飽和脂肪酸には、ホルモンの働きを整えるなど多くの役割があり、決して人間にとって不要なものではありません。飽和脂肪酸1:不飽和脂肪酸5の割合で摂取することをおすすめします。これまでの話を踏まえると根菜類をたっぷり入れた豚汁は発酵食品の味噌も摂れるし、最高ではないでしょうか。
女性の体は、男性にはない独特のリズムがあり、とても繊細です。まずは自分の体の声に耳を傾けて、あまり無理をしないように心がけましょう。
また、お灸のツボについては次回詳しくお話ししますが、特効穴として、沢田流神門(さわだりゅうしんもん:手首の内側、薬指と小指を軽く曲げた時に出来る筋の小指側)というツボがあります。これは根本的に治すという訳ではないので、どうしても出したいという時だけ。半日から1日程度で出るだろう、と言われていますが、便秘の原因によっても違うので効果は五分五分です。ただ、下剤などを飲む前に試してみる価値はあります。

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体法、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。