女性のカラダ

一灸先生に聞いてみました vol.45 股関節痛その1「股関節だけの問題じゃないなんて!」

2018.02.08

今月のテーマは50代女性から寄せられた「股関節の痛み」について、です。10年前から右の股関節に痛みを感じるようになったというこの女性。病院のレントゲン検査では異常なし。母の遺伝で股関節のソケットが浅いのが原因では? と思っていたそうですが、それもまったく問題ないという診断でした。昨年の始めからは左股関節や右膝にも痛みを感じるようになり、右膝には水も溜まってしまったのだとか。溜まった水は抜かず、2か月ほどで腫れも痛みも弱まったものの、レントゲン検査で異常がないので、どのようにセルフケアしたら良いかわからない、利き足は左なのに右が痛くなった理由もわからない、というご相談です。早速、一灸先生に聞いてみました。


お尻の筋力に要注意!
この女性は、20代から20年以上デスクワークをしていたということですね。長時間同じ姿勢を取り続ける、しかもそれが長年続くと、座りっぱなしでも立ちっぱなしでも、使われていない筋肉は弱くなってしまいます。運動不足でお尻周りの筋肉(大臀筋、中臀筋、小臀筋など)が弱くなって股関節を支えきれなくなると、股関節のポジションを正常に保ちにくくなります。股関節が外側に緩むと大腿骨が開いて、通常ほぼ直線上にあるはずの大腿骨、膝関節、脛骨のバランスが崩れ、膝関節にまで大きな負担がかかります。このままバランスが崩れた状態で放置すると、変形性膝関節症になってしまうこともあります。右膝に水が溜まった、というのも、膝関節に負担がかかったことが原因です。膝関節が歪むことで骨同士(軟骨)がぶつかってしまうのを防ぐために、関節を守ろうとして水が溜まるのです。溜まった水を抜くと楽になったように感じますが、そもそもの歪みが取れたわけではないので関節にさらに負担がかかることになってしまいます。つまり、また水が溜まってしまう可能性も十分にある、ということです。

痛みと利き足の関係は?
水を抜いた訳でもないのに2か月ほどで膝の腫れが引いた、ということですが、それは身体のバランスが変わったからではないでしょうか。無意識に痛い部分をかばって、いつの間にか別の場所まで痛くなった、という経験はありませんか? 痛いから歩き方や座り方が変わるなど、継続的な痛みから逃れるために、身体が別の場所に歪みを作ってバランスを変えるのは良くあることなのですよ。
また、利き足とは反対の右股関節に痛みが生じたことが不思議、とのことですが、激しいスポーツを現在も続けている、というようなことがなければ、利き足はあまり関係ありません。おそらく、日常の姿勢のクセなどで右側により負担がかかっていたのでしょう。この方は問題なかったようですが、いわゆるソケットが浅い場合も股関節痛の原因になる可能性はあります。遺伝もあるでしょう。もしどうしても気になる場合は、一度調べてみてもいいかもしれませんね。ただ、立ちっぱなし、座りっぱなしなど長時間同じ姿勢でいるような仕事に就ていても、日頃から鍛えていて、その仕事に耐えられるだけの筋力があれば、歪みや痛みが生じるようなことはあまりありません。常に全身の筋肉を適度に刺激し、筋力を強化することが股関節や膝関節の痛みの予防にもつながる、ということを意識して、日々身体を動かしたいですね。


股関節が痛むこと、実は私も良くあります。大抵の場合、その原因は歪み。自分で意識してバランスを整えてみたり、一灸先生に整えてもらったりすると、不思議なほど、その痛みはなくなるんですよね。でもお尻の筋肉を鍛えなきゃ、同じことを繰り返すってことですね…。次回は股関節痛のセルフケアについて一灸先生に聞いてみます。お灸のツボももちろんですが、筋トレ方法も登場しますので、股関節と姿勢を意識しつつお待ちください。

話 一灸先生(治療室一灸 院長 森川まこと)

文 金子未和

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一灸先生
治療室一灸 院長 森川まこと
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、障害者スポーツ指導委員。鍼灸、マッサージのほか、操体術、ホメオパシーなどを用い、患者の状態や希望に合わせた治療を行う。地元はもとより遠方から通う患者さんも多く、「一灸先生」の愛称で親しまれている。